大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)1995 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人Aの弁護人三神武男の上告趣意は、後に添えた書面記載のとおりである。

同第一点について。

原判決は、所論のように第一審判決の示した事実及び証拠を引用したものではな

く、昭和二五年最高裁判所規則三〇号六条に従い、「罪となるべき事実は原判決の

認定した事実のとおりであつて、右は控訴申立人にあたると解すべき被告人におい

て不服のないところである」と判示し、事実の摘示及び証拠の説明を表示したので

ある。従つて、所論の原判決が刑訴応急措置法一〇条三項憲法三八条三項に違反す

るとの主張は、原判示の言及していないことを論難するのであつて、理由がない。

なお原判決は、前記規則六条によつて、罪となるべき事実は、第一審判決の認定し

た事実のとおり被告人において不服のないところであるとし、この点において原審

公判廷における被告人の自白を認めているのであるから、弁護人の論旨が結局これ

について同趣旨の非難をするものとしても、公判廷における自白は、憲法三八条三

項にいわゆる、「本人の自白」を含まないことは、当裁判所数次の判例で明らかな

ところであるから、この点においても原判決にはなんら所論のような違反はない。

同第二点について。

所論は、法令違反を主張するのであるから、刑訴四〇五条の適法な上告理由に当

らない。なお原判決が適用法令のうちに、罰金等臨時措置法二条を掲げたのは、判

示第一及び第二の所為について、本件犯行後昭和二二年法律第二四七号により食糧

管理法三一条の罰金刑に変更があり、また判示第三の所為につき、同じく昭和二四

年二月三日政令第三六号により物価統制令三三条の内容に変更があつたので、いず

れも改正前の右条項所定の刑期及び罰金額の範囲内で被告人を処断するに当り、前

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記罰金等臨時措置法二条により罰金の最低限が二十円より千円に引き上げられたの

で、比照のため判決当時の罰金刑の金額の範囲を示したのである。従つて原判決は

なんら法律不遡及の原則に違反したものでない。

なお、記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条の二刑訴法四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、論旨第一点の公判廷における被告人の自白に関する井上裁判官の反

対意見(その反対意見は、当裁判所昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日大

法廷判決、集二卷九号一〇二四頁所載引用)を除き、裁判官一致の意見である。

昭和二六年一二月二五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

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